2006-12-12

USA:Tour2005年9月 九日目


 一夜明けて、マッチャンのフヌケ抜け殻状態は益々悪化している。
何せこのマッチャン、はじめての米国釣行から帰着した時、福岡空港での風景がすべて完全な白黒(モノクロ)に映ったという御仁。全身全感をもって打ち込むあまり、身体の機能変化という副作用まで起こしてしまう。・・・その点は恐れ入ります。


 「今日は飛行機乗って帰るだけ」と思っているので、余計にその抜け殻ぶりはひどかった。


 きれいなボーズマン空港の朝。
先ずはレンタカーを返す。Hertzの手続きがチョット時間かかる。少し早く着きすぎてAlaskaAirlineのチェックインカウンターにはまだ誰もいない。とりあえずのつもりでフライトスケジュールモニターで該当便を確認。・・・・??確認できないけど、「まあ良くあることだ」とあまり気にしない。・・・ところが!!

 ようやくチェックインカウンターのおねーさんがスタンバイしたので、ゴロゴロとスーツケースを押してお手続き。どうやら一番乗りだ。

「彼(マッチャン)は窓席で、僕は隣の通路側席をよろしく」・・・エコノミー席の狭さでは窓席に座るとトイレに立つのも一苦労なので、僕はいつも通路席をリクエスト。

「フームー、あいにく満席なので変更は難しいですね。とりあえずキャンセル待ちします?」
「はー?満席?(まさかオーバーブッキングくらったか?)・・・それは困る!」
「・・そう申されましても、満席は満席ですことよ」
「よかですかおねーさま、こちらはリコンファームもしてるしほらこれがRFNo.バイ!」

・・少し困惑気味になってきたオネーさんは、
「あのーお客様は、フライト日を変更したいのじゃございませんこと?」
「あん?断然違うバイ、ほら僕らのチケットはもともと23日だし、今日のフライトばい!」

・・オネーさんの顔にさわやかな笑みが広がって、右手を壁のタイムボードに指し示しながら、
「お客様ーッ、今日は22日でございますことよ。うふふ。」
「エッ?は?・・・」・・目の前のデジタルボードには[22.SEP.2005]と。
完全に一日間違えてる。

 思い返すと、Aバーモーテルのチェックアウト前夜、「お世話になりましたね、明日立ちますから今夜のうちに精算を」と言った時のカウンター姉さんのリアクションも「あらそうなの?」と言う感じでスムーズではなっかた。レンタカーHertzの返却手続きもいつもより時間がかかった。・・しかし全く日時・曜日に関係ない毎日をおくっていたにせよ、どこかしこでそれを認識させられることがありそうなのに。買い物・食事でクレジットカードを使った時でも必ず日時を明記されているのに。マッチャンの両手にそれぞれはめられてる2個の腕時計に日付表示は無かったのか?

 かなりグチグチブツブツと、「まさかツアコン経験のマッキーが日にちを間違えるとは思わんかった!」「あと一日HFで釣りが出来たのに」マッチャンの諌めの言葉を聞きながら、本当に意外な展開に自分でも呆れてしまっておかしい。

 早朝6時の空港2Fレストラン。一日儲かったような気分の僕とは違って、抜け殻がさらに萎んだような状態のマッチャンと、とりあえず腹ごしらえをしながら本当のラスト日の予定を考える。・・・当初予定していたリヴィングストンへ行ってみることにする。(運よく返したばかりのレンタカーをそのまま延長で借りることが出来た)

 古い町並みのリヴィングストン。まずはダンベイリーの店に立ち寄る。そこで得た情報では「BoulderRiver」(ボウルダー)が今良いらしい。気持ちよく晴れた空、気持ちも一旦リセットされた気分で、初めての川へ向かう。

 釣り道具一切を、完全に分解パッキングしていたので、アクセスポイントに着いたらまず荷物の解体をやらなければならなかった。
このツアーでは何度パッキングを繰り返したのか。

 




 ビール飲みながらいつまでもグズグズと準備しているマッチャンを置いて先に川に下りる。ライズらしきものは見当たらないので、最初の小さいプールの開きにフライを流してみるとすぐに青年サイズのきれいなマスがかかった。河畔林に囲まれたゆったりした流れ、魚影はかなり濃いようで、のんびり釣りあがるには最高のロケーション。マッチャンもすぐ最初の一尾をかけてからは気分も爽々と盛り上がってきたようで、釣り耽溺モードに戻っていた。
 

 ビール&ジャーキー休憩を入れて、夕刻までゆっくり釣り上がった。

 イブニングには活発なライズにも囲まれて、楽しいボウルダーリバーだった。この川ももう一度来てみたい川になった。

 ホントに本当の最終日も終わり、最後の宿は「ウエスタン・ヘリテイジ」へ。そして最後の爛れ酒の思惑は、何とアルコホール一切置いていないレストランに入ってしまい、コーラで乾杯。



この旅の一番長い一日となった。

2006-12-11

USA:Tour2005年9月 八日目   


パインへブン

 このツアーで最も印象的な場所になり、鬱々な気分を昇華させる時間を経験させてくれた特別なポイント。僕の中では。・・・ここで感じた一喜一憂の全てを「アメリカに釣りに来る目的」に出来ると確信できる(決して大げさではなく)。克服したい課題に向かうことは、大きい楽しみを伴うはずだし、これからも暫くはずーっと、ここに立ちたくなるのは間違いない。


 少しの諦めとも焦りともつかない憂いに包まれながらも、冷たいビールに気を持ち直して、悪路を走らせ着いた昨夕のパインへヴン。すでに銀色グレイに夕刻の光が始まっており、淡々とした気分で流れに入った。マッチャンはここHFでの釣りを何度か経験している手練で、「下流の方で、バンク際を攻めてくるけん」と言って歩いて行った。

 川の左岸から流芯に向かって三分の一ほどのところまで進み、あたりの筋を見てみる。明らかに小ぶりのマスのライズが散発的に起こっている。近くの水面にはPMD・アント・マホガニーが流れている。川の銀反射に少しのオレンジ色・ピンク色が混じり始めた頃、・・・流芯の向こう際に黒金色の頭が見えて尻尾がそれに引かれるように続いた。音も立てず。・・・何度目かのトライでその無音のライズにフライが吸い込まれた。

 悔しい、ホントに悔しかった。流れ藻の塊に何度も突っ込まれて、結局一尾も手に出来なかった。ヴェストは完全に浸水してギリッギリに届いたライズ。真っ暗になるまでライズに向かい続けたのはこのツアーでも初めてのこと。・・・少し宗教的な感覚さえ覚えるほど一心にライズに向かっていたら、良く分からない幸福感にチョットだけの涙がこぼれてきました。

 マッチャンはいつの間にか横に立っていて、バンク際の大物にブレイクされた云々をそれはそれは悔しそうに話しながら、一緒に目の前のライズに向かった。

 この夜、ステーキ・ビール・ワイン・ウイスキー・・・etcに、二人爛れに爛れました。


さて今日が最後(と二人思っている)でお昼過ぎにはボーズマンへ移動を予定している二人は、あの方この人にご挨拶を済ませ、結果に拘らずパインへヴンへ。

 ホントにかわいい結果でした。
今日も「下流バンク際」を攻めたマッチャンはさばさばした顔で、「もうよかバイ、納得したバイ、今日も3尾切られたばってん、こんコツはこん次の課題バイ!」。




 もう何度やったかわからないパッキングを済ませて、のんびりギャラティンを眺めたり、ブルーリボンフライズで買い物したりしながら、終わった釣りの淋しさを紛らわせてボーズマンに走る。交代で運転するも二人とも眠気がさしてきて、しばし道路脇で爆睡休憩。

 着いたボーズマンでは、ちょうどドッグショー開催中で、飛び込みで入った数件のモーテルは満室。どうにか落ち着いた宿はホリディ・インでした。「今夜は最後だけん飲むバイ・・・(毎日飲み爛れたけど)。」

 クリーミーギネスのビールで乾杯して。
ステーキレストラン出た後も、部屋飲み用のペールエールも調達して。明日は飛行機の中だという思い込みは・・・ここまできても気付かない二人だった。

2006-12-08

USA:Tour2005年9月 七日目


 この日の朝は特に冷え込んだ。車はガシガシと凍り、外に出しっぱなしのウェーディングシューズを履くのにも苦労する。季節が冬に向かおうとしている雰囲気と、もうすぐこのツアーも終わるという寂しさが呼応して、余計に刹那気分を募らされる。

 丸々一日遊べるのも今日が最後(と、二人は思い込んでいる・・)だからか?
いつもは揚々とマーケットに飛び込み、ホットコーヒーに始まる買い物をしながらその日一日の楽しみを盛り上げていくのに、束の間の馴染みになった周りの写真を撮ったりなんかしたくなる。トラウトハンターもブラッドのお店も朝日にきれいです。




 今日の予定。
昨夜、酔い酔いながらも稚拙な二人が考えた計画はこうです。「これまでいったあちらこちらのポイントのベストタイムを攻め尽す」

朝一にライズが集中していた(マッチャン曰く)ファンファームからスタート⇒その帰路がもったいないのでアシュトンダム下流をチェックする⇒昼下がりから流下が増えるミリオネアに大物期待⇒イブニングは僕の希望でパインへヴン・・・・・改めて考えるとふらふらと落ち着かない予定、的を絞りきれていない予定でしたね。

波立たず鏡面流れのファンファームはのんびりの朝を満喫、ガンの試し撃ちヤンキーに穴だらけにされたORAブリッジの下に悠然と泳ぐマスを涎見学、オズボーンブリッジ脇の草地でピクニック気分のビール&ジャーキー、ミリオネア再び青少年サイズのマスライズに遊び・・・まあ結局夕刻まで「大物」にはめぐり合えないままだった。

 この時はじめて、寂しさを伴う「焦り!」な気分が湧いてきたのを感じる。しかし二人とも「それ」を口に出せないでいる。お互いに口に出したくない気分を了解している。・・・今思うと、楽天な気分に少しづつ影がさし始めていましたね。切ない影が・・・


2006-12-07

裏山


 再び長いブランク
・・・ヤマメ禁漁から季節は秋を速過ぎて、完全な冬。「今年の紅葉は綺麗だ」と寸時感じながらも、大好きな秋を遊ぶを取り逃がし、すでに年末近い冬ですね。冬のピリッと冷たい透明空気も好きなわけですけど。ポカポカ暖かい服に身を包んで、顔だけヒンヤリ・・・山を歩いても、街を歩いてもこの感じは大好きです。

 久しぶりの休日。気になっていた家の片付けをササッとこなし、奥様を誘ってちょっと裏山へ出かける。天気晴朗無風、嬉し気持ちよく歩き始め、少しづつ標高上がってくると、ホントに山歩きは楽しいと実感。見晴らしの良い楽チン山道トレックなので、それほど息は上がらないけど、背中にジンワリ汗噴きはじめ、早目々のお茶休憩。







 日帰りトレックなので、詰め込んだストーブはOptimus8R。
これはDiroさんからの頂き物。・・・実は今回はじめての使用です。軽量コンパクトで確か「弁当箱」のニックネームを持っていたような?・・・普通メインに持ち歩いているのはMSRシマーライトで、こちらも本体だけなら軽量なわけだけれど、キャンプ泊予定で連れて行くので白ガスボトルが追加になる。そこが8Rの場合、本体ボンベに満タン入れていけば、休憩・ランチくらいなら間に合う。日帰り御用達ですな。

 プレヒートが少し甘かったのか、最初火力が弱いかなと思っていたらとんでもない、ズバババーッとものすごい音を立てて勢い燃え上がる。小さくも頼もしい。

 Diroさんありがとう。ウチの裏山コースには沢山の開けたテン場があるので、この冬テントもって遊びに来てくださいませ。

 久々の裏山トレックで身体も調子付いたようなので、この冬は間隙を山歩きに増やしたい。・・・少しづつ楽しみも増えて、この正月には予約中の子犬(黒ラブラドール)も生れるてくる。子どもの頃から大型犬に囲まれて育ったので、一緒に山遊び・川遊びの相棒が出来るのはとても嬉しい。すでに名前も決まっている。・・・CoCoをよろしく願います。